シニア科
犬や猫は1年で約4、5歳年をとると言われています。7歳以上になるとシニア期(中高齢期)に差し掛かり、身体や行動に様々な変化が現れます。シニア期には犬猫の変化により早く気づき、早めにケアしてあげることが大切です。
シニア度チェック
中高齢期に入ると、身体だけでなく性格と行動にも変化が出てきます。日頃から犬や猫の様子をよく観察し、ちょっとした変化に早く気づいてあげることが病気の早期発見に繋がります。
身体をチェック!
□フケが増えた、白髪が目立ち始めた
□毛艶が悪くなってきた
□背骨がゴツゴツと触れるようになった
□よく食べているのに痩せてきた
□イボやしこりが増えた
□目ヤニが増えた・目が白く濁ってみえる
□口が臭い
行動をチェック!
□名前を呼んでも反応が薄いことがある
□物にぶつかる
□歩行中に、ふらつく、つまずく
□『おすわり』『立って』が遅くなった(犬)
□高い所に乗らなくなった(猫)
□体を触られるのを嫌がる
□遊びはするものの、すぐに飽きてしまう
□日中に良く寝るようになった
□家族のそばで寝たがるようになった
いくつ当てはまりましたか?当てはまる項目が多い程、老化は進行している可能性があります。また、項目によっては検査・治療を開始した方が良い可能性もあります。
当院のシニア犬・シニア猫に対する取り組みは以下の4点です。
◆健康診断
老化に伴い、様々な病気になる可能性が高まります。当院では病気の早期発見のため、また愛犬・愛猫の健康な時の検査結果を把握しておくために、年に2回の血液検査、年に1回のペットドック(レントゲン検査や尿検査などを含めた全身的な健康診断)をお勧めしております。検査で異常が認められた場合、さらに詳しい検査を行う、または大学病院などの二次診療施設や各種専門病院などへのご紹介を行っております。また、当院は動物健診センターCamiC(MRI,CTセンター)の提携病院です。CamiCでのCT、MRI検査をお受けいただけます。
◆適格な診断、適切な治療
シニア犬・シニア猫にとって動物病院への通院がストレスになることがあります。当院では適格な診断、適切な治療を行うことにより、通院回数を少なくするよう心がけています。
◆安全な手術
当院では、皆様に安心して外科手術を受けて頂くため、「安全性」と「外科医療の質」の向上を目指し日夜努力をしております。手術前の術前計画を執刀医以外も理解し、トレーニングを積むだけでなく、麻酔管理専門スタッフが麻酔管理を行うことにより、より安全に手術が行えるよう努めています。
◆リハビリテーション
近年、動物医療においてもリハビリテーションの重要性が認識され始めています。当院では、整形外科・神経外科の手術後の機能回復や、老化に伴い筋力や靭帯が衰え始めた症例に対し、筋力、関節可動域の維持または改善を目的としたリハビリテーションを行っています。詳しくはこちらをご覧ください。
◆コミュニケーション
シニア犬・シニア猫に適切な刺激を与えることは、脳を活性化させ、老いる速度をできる限り遅らせることにつながります。日々、積極的に様々なコミュニケーションを取ることで愛犬・愛猫と生き生きとした生活を送りましょう。
・積極的に話しかける
・おすわり、フセなどのトレーニングを行う
・ご飯を飼い主さんの手から与える
・新しい遊びを考える
・マッサージ
他にも愛犬・愛猫の好きなことを見つけ、一緒に行いましょう。
◆食事
シニア犬・シニア猫になると、運動量が減り、基礎代謝も低下するので、食事をシニア用フードに切り替えるようにしましょう。消化性の良いものや、シニア期になりやすい心臓病や腎臓病に配慮し、成分調整がされている食事がお勧めです。
〈シニア犬・シニア猫に食事を与えるときの工夫〉
・食器を台座に乗せる
・食べやすい食器を探す
・ドライフードをふやかす
・レンジで温める
・1回の食事量を減らし、与える回数を増やす
◆日常ケア
1.爪切り、足裏の毛のカット
爪や足裏の毛が伸びすぎていると、フローリングなどで滑ってしまい、怪我に繋がります。猫の場合も活動量の低下に伴い爪とぎの回数が減るため、定期的な爪切りが必要です。
2.デンタルケア
近年、歯石の付着の有無が寿命に関わると言われています。歯石は細菌が多く存在し、口臭の原因や歯肉の炎症、全身疾患につながることがあります。一旦歯石が形成されてしまうと、全身麻酔下での歯科処置が必要となってきます。しかし、シニア犬・シニア猫には身体に負担がかかる可能性があるため、日頃からデンタルケアグッズを使用した口腔ケアをしてあげることが大切です。
犬・猫用デンタルブラシデンタルシート
3.ブラッシング
シニア猫は自分で行うグルーミングの頻度が減り、毛玉ができやすくなるため、毎日ブラッシングをしてあげましょう。また犬の場合も、ブラッシングをすることで新しくできものができていないかなどの確認や全身チェックを行うことができます。
※その他、必要な日常ケアはこちらをご覧ください
犬→日常ケア(こいぬ科) 猫→日常ケア(こねこ科)
◆お散歩
高齢になるほど寝ている時間が増えていきますが、日中にたくさん寝てしまう事で昼夜逆転の生活になり、夜鳴きなど一緒に生活をしていくうえで問題となる行動が出てくる可能性があります。自力で歩く事が出来なくなっても、バギーなどに乗せて外に連れ出し、外の音を聴く、地面の匂いを嗅ぐなど五感を刺激してあげて下さい。
また、太陽の光を浴びることで、睡眠に必要なホルモンが生成される為、夜に眠ることができ昼夜逆転の生活を避ける事が出来ます。お散歩や運動のやり過ぎはかえって体を痛めることがありますが、適度な運動は筋肉を維持し、ストレスの発散になり、精神面にもいい刺激を与えます。無理のない範囲で、楽しくお散歩に行き、少しでも長く、自分の足で歩けるように工夫をしてあげましょう。
◆バリアフリー
高齢期に入ると、脚力、視力、嗅覚、聴力の衰えにより、障害物を避けられなくなったり、段差の登り降りができなくなったりします。
・お部屋の模様替えは極力控える
・フローリングなどの滑る床には、滑り止め防止のマットを敷く
・ソファーやイス等の段差の飛び乗り、飛び降りはなるべくさせない
・階段は落ちると大怪我に繋がるため、登らないように工夫する
・寝床の近くにトイレを置く、トイレの数を増やす
上記の内容に気を付けて、愛犬・愛猫が快適に過ごせるよう、環境を整えてあげましょう。
1.動物病院での定期的な健康チェック
2.ライフステージ・健康状態に合わせたお食事に変更
3.適度な運動、十分なコミュニケーション、日常ケア
当院では、7歳以上のワンちゃんとその御家族を対象に、月に1回、シニアクラスを行っています。シニア犬と楽しく暮らすためにはまず、シニア犬を知ることが重要です。
シニアクラスでは、愛犬と一緒に笑顔溢れる楽しいシニアライフを送れるよう、シニア期になりやすい病気やそのチェックの方法、シニア犬との暮らし方のアドバイス、ワンちゃんに必要な介護の方法などをご紹介致します。
こちらで紹介した内容をより詳しく学んでいただける内容となっていますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。
*シニアのねこちゃんに関してもご相談がありましたら、お気軽にお尋ねください。
愛犬・愛猫がシニアに入ってきているのか、人間に換算するとどのくらいの年齢になっているのか、現在の愛犬・愛猫の状態に問題があるのか、把握していますか?下の表は、犬猫の年齢を人の年齢に換算したものです。愛犬・愛猫の年齢を把握しておくことは、健康管理をしていくうえで大切です。