リハビリテーション
近年、動物医療においてもリハビリテーションの重要性が認識され始めています。当院では、整形外科・神経外科の手術後など、適応となる症例に対し、リハビリテーションを行っています。詳しくはスタッフまでご相談下さい。
リハビリテーションの目的
・臨床症状の緩和
・疼痛、炎症の緩和
・筋力、関節可動域の維持または改善など
・整形外科症例(膝蓋骨脱臼、前十字靭帯断裂、骨折、大腿骨頭切除の術後症例など)
・神経疾患(椎間板ヘルニアなど)
・肥満改善、筋力維持
ボールエクササイズ
手術後の患肢の回復期において、動物用に設計されたバランスボールを用いたリハビリを行っています。ボールエクササイズは、患者のバランス力、筋力、筋肉の協調性の改善を促します。家庭でも可能なエクササイズですので、興味のある方はご相談ください。
トレッドミル歩行
動物の体力向上と患肢の機能回復の促進、あるいは肥満防止を目的に、小動物用に設計されたランニングマシーンを用いてリハビリテーションを行っています。リードでのお散歩ができるワンちゃんは、ほとんどの場合機械を怖がらずにエクササイズができます。患肢の負重が始まれば、短時間からの実施が可能です。
水泳・ハイドロセラピー
水泳療法では、痛みを最小限に抑えつつ、体重による関節への負担を減らした状態で運動をする事ができます。
関節可動域が改善し、左右に偏らずに泳げるので正しい筋肉をつけることができます。
また、水による刺激を与える事で、麻痺の回復を早める事も出来ます。
冷却療法
治癒過程の急性炎症期やリハビリテーション後に用いることで、鎮痛、抗炎症作用、浮腫の予防や軽減に効果があります。
肩関節の脱臼に対し切除関節形成術を実施
患肢機能改善を目的にリハビリテーションを行った症例
トイ・プードル 7歳 去勢雄
リハビリテーション開始時は、右前肢を完全に挙上した状態での歩行でした。また、右肘関節の関節可動域減少が認められ、機能及び可動域の改善を目的としてリハビリテーションを開始しました。
週に1回、もしくは2週に1回の院内リハビリテーションを行い、ご自宅でも屈伸・ストレッチ・緩徐歩行・バランス運動を実施して頂きました。
院内リハビリテーションの内容は以下の通りです。
①赤外線レーザー治療
②マッサージ
③屈伸運動・ストレッチ
④ボールエクササイズ
⑤手押し車運動
⑥陸上トレッドミル
⑦カバレッティレール
⑧水泳
⑨アイシング
リハビリテーションを重ねる毎に、右前肢の着肢頻度は増加し、リハビリテーション開始より1ヶ月半後には、歩行時の患肢挙上は無くなりました。右肘の伸展は3~4°の改善が見られました。リハビリテーション開始より2ヶ月後、速歩時の挙上もほぼ見られなくなったため、リハビリテーション終了としました。
リハビリテーション担当 獣医師 臼井
動物看護師 浅見 園部